ネオ古今和歌集

読むとIQが下がります

ゆる募ってなんだよ

今日はトーマスとゆる募という言葉に違和感を持ち続けている男のお話。

 

「ゆる募」とは「飲み会や行楽などへの同行者を緩く募集する」の略である。SNSでよく見られる言葉で,暇を持て余し急遽即日で付き合ってくれる友人を集める折,頻繁に使われている。

 

ゆるキャラの隆盛に代表されるような「ゆるさ」の流行は,現代社会でこの「ゆる募」を氾濫させることとなった。

 

しかし,この「ゆる募」に憤慨し,日本国の言語体系と大衆の自意識の肥大化を憂い,著しく堪忍袋の緒が切れかけている男がいた。







 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺である。



お腹の緩さ以外,緩みの無い男でご存知,田中である。




なんだ,ゆる募て。ゆるーく募集て。



人が集まらなかった時に

 

「まぁ,ゆるく募集してただけだからさ。俺もそこまで本気じゃなかったし,またいつでも集まれるからさ」

 

と言い訳をするために予防線を張ってるだけではないか。

 

募集する立場なのに何故

 

 

 

少女漫画に登場する超イケメンでクラスの中心にいる陽キャラ(演:横浜流星)なのに地味少女(主人公。第1話では眼鏡に隠れて目元が描かれないがふとした時に眼鏡を外して実は美少女だったことが判明する。演:福原遥)に恋して,他の陽キャ女(演:福田沙紀)にいじめられているところを助けちゃったりなんかしたけど,地味少女が幼馴染ポジの男(演:神木隆之介)と急接近した焦燥感から強引に告白まで持ってったけど「ごめんなさい,私なんかがイケメン君と付き合ったら迷惑がかかるから......」と自分に慮った理由で断られ,実は地味少女の心は幼馴染に完全に向いているのに薄々気付いてしまったので今後は応援する立場に専念すると決心し,最低限の強がりで面子は保ったけど家に帰ってから一人しとしと枕を濡らしまくっているライバルキャラみたいな

 

 

 

 

答え方なのか。

 

募集に応える側のことを全く考えていない所業である。

 

募集側,ホスト側の「俺って本気出さずにゆるく募集しただけでもこんなに人集めちゃうんだよね」という傲慢なアピールタイムにゲストを無理矢理加担させているのである。

 

本当に来て欲しいならばむしろ

 

「キツ募」

 

するくらいの覚悟が必要であろう。

 

 

無論,キツ募とは諸賢も周知のように



「飲み会や行楽から親戚の臨終,友人の結婚式など冠婚葬祭への同行依頼の可能性を考慮した上で,本気で万に一つも欠席などあり得ないと断言できる者のみをキツめにガチで募集する」の略である。例としては



【きつ募】最近話題のホールスパイスを使ったカレー屋さんに行ける人。もし来ていただけない場合には,我の面子をかけ,白装束に十字架を背負った状態で立ったまま切腹し,魂魄百万回生まれ変わろうとも恨み晴らす



のように使う。切腹を辞さない覚悟を示す武士の一分,木村拓哉も舌を巻くほどの真剣(ガチ)の募集である。これが「キツめに募集」である。ガチ募である。



当然,適当にSNSで投稿し募集などかけない。

 

真に信を置ける戦友(とも)にのみ声をかけさせていただだく。

方法は勿論,矢文。関係各位におかれては是非ともアルミサッシに矢が刺さる音を聞き漏らさないようにお願いする次第である。



身命を賭して募集をかけるのだから,断ることなど許されない。遅刻はおろか,病欠も論外。だってガチ募なんだから。

 

ガチの募集なのでドタキャンなど言語同断である。もし欠席などしようものなら,即座に予定をキャンセルして欠席者の元へ向かう。(この時の俺は目が黒目だけの状態になる)

家で寝ていようが,彼女と映画を観ていようが,不届き者を成敗しに行く。

 

欠席した不埒者はきっとLINEの画面を眺めながら「ま,いっか」くらいに思っているだろうが,決して許さぬ。女とイチャついて俺の誘いを断るなど許さぬぞ......。




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ドンドンドンドン!!!ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン!!!



「こんばんはぁ~!マッチでぇぇぇす!!!黒柳さぁぁぁぁぁん!!!!」



俺の住むマンション中に響き渡る声で”奴”は叫んでいた。居留守を使っても無駄だと本能で察した。奴はかれこれ2時間以上も扉の前で俺を探して奇声を発し続けている。飲み会の誘いをすっぽかしただけなのに,なんで俺がこんな目に会わなきゃいけないんだ。

 

しばらく寝室のクローゼットの中で隠れていると,スッと騒音が止んだ。スマホの時計を確かめると時刻は24時を回っていた。

 

「ようやく諦めたか」

 

俺はぐったりして這いつくばりながらクローゼットから出た。

奴とはもう絶交だ。なんだよ「キツ募」って。たまたま暇が出来たから飲みに付き合ってやろうと思っただけなのに。すっぽかしただけであんなイカれた行動に出るか?普通。

 

ホッと溜息を吐いた俺は喉が渇いていたのでキッチンに水を取りに行こうとして立ち上がった。ふと首筋に涼しい風が過ぎ去るのを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






「キツめの募集って,言ったよなァ?」




窓ガラスが,破られていた。



暗がりにぼうっと浮かぶ人の姿は明らかに異常な気配を漂わせていた。

 

その声に俺は一瞬で”奴”だと気付いた。

 

「うわあああああ」

 

俺は思わず腰が抜けその場に座り込んでしまい寝室全体を包み込んだ狂気に当てられて動けなくなってしまった。

 

奴は右手に持った人間の半身ほどもある全長の機械を掴み,何かを引っ張る動作を三回ほど繰り返した。

 

チェーンソーだった。



ブゥゥゥンブゥゥゥン!!!

チェーンソーが起動する音が聞こえる。




「へへへ,どこに隠れたって無駄だァ~。俺様の追跡から逃れられる者はいないィ~。俺様はベストストーカー賞メンズ部門準グランプリだからなァ。メンズ・ノン脳だァ。次期ノーベル殺戮学賞受賞予定だァ」




ブゥゥゥンブゥゥゥン!!!



「ゆ,ゆ,許してくれ!なあ!俺たち友達だろ!?田中!」

 

命乞いのため並べ立てられる弁明の声は,ドタキャンした罪人を弾劾するチェーンソーの音に掻き消されていった。





「許してだァ?」

 

 

ブゥゥゥンブゥゥゥンブゥゥゥンブゥゥゥン!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 






「そんなに許して欲しけりゃァ」



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

田中はニヤリと笑ってこちらを見据えるとチェーンソーを振り上げた。




ブゥゥゥンブゥゥゥン!!!ブゥゥゥンブゥゥゥン!!!ブゥゥゥンブゥゥゥン!!!ギャギャギャギャギャギャ!!!ギャギャギャ!!!ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ!!!!!

 

ガゴガギギギギギ!!!ガゴガ!ゴギガガガギゴ!








 

 

 

 

 

 

「ギャアアアアアアアア!!!」











 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次はァ,『許し』を『募集』するんだなァ」






 

 

 

 

 

 

 

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とまぁ冗談はさておき,遅刻常習犯の俺が何言ってんだって話なんですけどね。

実際問題,ゆる募で繋がれる友人同士の「気の置けなさ」みたいなものには幾度も助けられていますんでね。

 

正直,自分の遅刻癖やドタキャン癖はもう治らないと自覚してるんで!

まっ,俺の愛嬌に免じてね!

 

このブログも今日友達との飲み会の約束をすっぽかしちゃったんで,自嘲気味に書いてますからね。

 

人間だもの,しょうがないじゃん!www



ご迷惑をおかけしている皆様方,いつもほんとすいません!笑

多分,これからも遅刻や無断欠席しちゃうと思うんで!むしろ皆さんにはゆる募の精神でいてもらえると,大変助かりますわ~!!!www

 

まま,許してちょんまげ!!!笑















 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呑気にブログを書いて上の空になっていた田中は,自宅の扉の鍵が「がちゃり」と重く冷たい音を伴って回転したことに気付いていなかった。





 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…...ブゥゥゥンブゥゥゥンブゥゥゥン。

 

 

 

 

filmarks.com

友人の肖像「楽しい星人」

僕の友人に「楽しい星人」がいます。

彼はこのブログの存在を認知しているので,彼について書くのは些か気恥ずかしさもありますが,ちょっとした気付きがあったので記録しておきたいと思います。

 

「楽しい星人」こと,僕の友人K君は大学時代に知り合った人物です。僕とは違う大学に通っていましたが,僕の所属していたサークルの行事で他大学と交流する機会があり,知り合うことになりました。仲良くなった経緯の仔細はもう思い出せませんが,かれこれ十年来の付き合いです。以前のブログにもちょこっと出てきた記憶の飛ばし屋こと,K君です。

出会った当時から彼は高身長で明朗快活な性格の好人物でした。現在は趣味の日本酒集めに精を出し,メタボリックシンドローム予備軍と小競り合いを繰り広げながら洋梨体型へのキャリアパスを順調に邁進しています。

 

tanacatharsystem.hateblo.jp

 

 

 

 

 

 

1 肖像画の特徴「多趣味」

K君はいわゆる凝り性で飽き性の僕とは正反対に,何かにハマるとかなり没頭しています。最近は靴磨きにハマっているらしく,「おまえんちの靴も磨かせてくれよ!」と言ってきます。生活費に困っているのでしょうか。ロンドンで靴磨きをやっている貧しい少年のようです。

靴磨き以外にも日本酒,競馬,靴,財布,バイク,スノボなど,僕と同じ社会人とは思われないほどの多趣味人間。どうやって時間を作っているのか教えて欲しいところです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2 肖像画の特徴「ゲラ」

K君の特徴はとにかく明るいところです。遊びに行こうが,女性に振られようが,仕事で失敗しようが,落ち込んだところを人に見せません。落ち込んでいたとしても次の日にはケロッとしているのでこちらが拍子抜けします。

 

そして,彼はいわゆる「ゲラ」なのです。

 

僕や他の友人がくだならいジョークをかまし,普通だったら大滑りのところ,彼はかなりの確率で笑ってくれるので,僕は密かに「ボケの防波堤」と呼んでいます。

彼を観察していると気付くのですが,頻繁に「おもしろ!」を連発します。彼の口癖は主に「おもしろ!」「これは嬉しい!」「マジむかつく!」の3つでした。

平成に取り残されたギャルなんでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 


3 楽しい星人の肖像

 ①楽しい星人の真髄

楽しい星人の真髄,それはコミュニケーション能力の高さ。初対面の友人を彼に紹介してもあっと言う間に仲良くなっています。またK君の多趣味っぷりは他人と共通する話題を作り出すのに一役買っているらしく,持ち前のゲラは周囲の雰囲気を良くしてくれます。僕がボケてウケようが滑ろうが彼がいるだけで助かるんですよね。「笑い」は伝播するもんなんだなぁとつくづく思います。そのせいか,彼の交友範囲は僕のようなオタクからゴリゴリのキャバ嬢まで多岐に渡ります。

 

 

②大人の空気

K君の持つ明るさの根本にあるのは「些細な問題を問題として看做さない」ことにあるような気がしています。端的に言えば「おおらか」なのです。

 

人間生きていると社会生活で神経を尖らせメンタルヘルスを毀損し家族や友人と衝突してしまうことがあります。

多感な時期,特に思春期と呼ばれる時分には,自分を取り巻く問題の解決策が見つからず,答えの無い問いに精神をすり減らすことが誰しもあるでしょう。

精神が成熟していない子供にとって,迫る問題への関心を捨てるのは容易ではありません。夜中の2時に布団を被り,考えても仕方が無い問題(例えば「死」)について考えてみて憂鬱な気分になる。周囲の友人たちと比較して自分を卑下してしまう。

 

しかし我々は成長するにつれ「生活の糧を稼ぐ」という死活問題に直面します。すると思考が「今日どう生きるか」にシフトし,考えても答えが出ない問題への関心を少しずつ失っていきます。「答えは別に無いよね」で問題を放棄しゴミ袋に詰めてクローゼットの奥に仕舞い込んでおく。

大人になると「実証に意味のある問題」と「実証に意味の無い問題」の切り分けができるようになります。「この問題はパス!」ができるようになることが「子供」から「大人」に成長することなのかも知れません。

 

K君の場合はどうでしょうか。彼は大学時代から些細な問題には拘らず「しょうがないじゃん」と切り捨てられるポジティブシンキングを持っていました。しかし彼から感じる「大人らしさ」はそれだけではないような気がします。

 

彼は前職が世間で言うところ「ブラック企業」でした。パワハラはもはや「パワハラ」の名前が叫ばれないほど常態化し,過酷なノルマや上司の厳しい叱責に遭っていたそうです。

恐らくこの経験によってK君には「降りかかる問題に対する耐性」が備わったのでしょう。彼の愚痴でよく登場していたのが”上司に詰められる”というセンテンス。”怒られる”じゃなくて”詰められる”。

ブラックで名高い職種であるテレビ制作のADとして働いていた僕の後輩も「昨日,同僚がバキ打ちにあっちゃって」と愚痴混じりに話してくれたことを思い出します。

”詰められる”だの”バキ打ち”だの,どうしてブラック企業では首筋が冷えるようなキラーワードが飛び交うのでしょうか。

彼の営業エピソードで一番印象的だったのは,酔っ払ってヤクザ相手に絡んでしまって大惨事になりかけた話です。(彼の職業柄,カタギでない方々相手に営業することも日常茶飯事だったようです)

これを笑いながら話してきた時には「あ,こいつには勝てんな」と思いました。

 

K君曰く,ブラック企業での毎日を乗り越えるために身に付けざるを得なかった物があったそうです。

 

 彼自身はそれを「考え抜く力」と語っていました。

 

 

4 友人の鑑賞法 

K君は僕より一つ歳上ですが,僕と彼の間にある一歳差以上の「大人らしさ」を,しばしば彼の中に垣間見ることがあります。それは彼が経験してきた艱難辛苦がそうさせるのでしょう。地獄の受験戦争,思うようにいかない就職活動,ブラック企業で遭遇した数々の試練。

 

苦難が磨き上げた「考え抜く力」は人生ここ一番の時に役立ったのではなかろうかと,今,念願のエンタメ業界で働く彼を見ているとそう思います。

肩書きマン

某国某年某月某日某時某分某秒

 

この全く所在も時系列も判然としない場所で,とある二人の人間の互いの命をかけた古今東西ゲーム」が繰り広げられようとしていた。

 

なお決闘者の首には「DSSチョーカー(どちらか失敗した方が死んじゃうチョーカー)」が装着され,答えに窮した者の首が爆発で吹き飛ぶ仕組みになっている。



古今東西,「インフルエンサーの肩書~」!(ライアーゲームっぽいかけ声)

 

パンパン

A「ツイッタラー!」

パンパン

B「インスタグラマー!」

パンパン

A「17ライバー!」

パンパン

B「ティックトッカー!」

パンパン

A「ゆ,ユーチューバー!!」

パンパン

B「クラブハウサー!」

パンパン



パンパン

A「ううううううう......」







パンパン




 

 

 

A「うぅうぅうウっうううぁあ......て,て,ティンダーダー!!!」



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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こうしてA氏の「それっぽいワードの語尾にerを付けて誤魔化す作戦」は脆くも崩れ去り,命をかけた古今東西ゲームに敗北したA氏,すなわち俺だが,Tinderで出会いを求めている独身男性の浅ましさと共に木端微塵のミジンコちゃんに吹き飛び,死後はマッチングアプリ地獄に落とされ,運良く生まれ変われても来世では出会い厨の権化として転生することが運命付けられてしまった。

 

昨今のSNSは日進月歩どころか分進秒歩と呼んでも差し支えないほどに飛躍的進化を遂げている。

 

古くはmixiの普及に始まり,TwitterinstagramTikTokSNS界に群雄割拠が起こり,現在では音声コミュニケーションツールとしてClubhouseなる物まで登場している。

 

こうなるともはや老兵の身の私としては付いていくのが精一杯で「インフルエンサーになってやろう!」などという気も起こらない。先ほどの古今東西ゲームでも初手から怪しい有り様だ。そもそもツイッタラーはインフルエンサーではない気がする。

 

以前,コロナ禍の自粛中において流行したZOOM飲み会を物は試しとやってみたが

 

インターネットブラウザの閲覧履歴を削除し忘れたがために,酔った勢いで画面を共有したおよそ20名の友人達に

 

私が女優名を検索しようとしたAVタイトル

 

 

「貸切温泉おもてなしソープ 杏」

 

 

 

20名のPC画面いっぱいに暴露されるショッキングな失態を犯したことがある。



最悪なことにZOOMに参加していた約半数は女性であった。



久々にクラスメイト全員の前でズボンを後ろからずり下ろされた気分になった。

 

それ以来,友人から迂闊な失敗をネタにゆすられ続けている始末である。



ネットリテラシーを著しく欠如した男が自己承認欲求を満たさんがためにSNSをオナニー感覚でやるのは危険であるとつくづく痛感した。

 

こんな様ではインフルエンサーになるなど夢のまた夢だ。呼ばれてもいないのに自分でインフルエンサーを名乗るのは気恥ずかしいし,名乗れるほどインフルエンスできる物を持っていない。

 

適当に流行っている物をバズらせようと血眼でSNSに齧り付くのもなんだか不健全で,人のふんどしで相撲を取っている気分になる。役が無いのに「役者です」と名乗るようなものだ。役の無い者は「只者」なのである。

 

そもそも肩書きってなんだ。職業?資格?あだ名?テレビのワイドショーに出ている評論家の前に置いてあるパネルに書かれた横文字はまさに肩書きって感じがする。

 

例えば「アナリスト」。本来は「分析」を意味する「アナライズ」から来ているわけだが,偏差値5で幼稚園卒のワタクシのような下賤な男の脳内ブラウザで検索をかけると一発目に「アナル」がヒットする。というか,男性なら結構な確率で連想してると思う。モチロン,そこのあなたの隣で寝息を立てている素敵な彼氏さんもね!

 

しかも俺は肩書にめっぽう弱い。座右の銘は「弱きを挫き強きに媚びる」なんでね。

 

まぁそれっぽい肩書で名乗られると,意味も分からないのについ平身低頭してしまう癖があるので,取引先なんかで肩書きのある人と会った時のことを想像しておこうと思う。




〜名刺交換の場にて〜

 

アナリスト「私,アナリストをしております」

 

俺「へー!アナリスト!」

 

 

 

 

 

俺「(あ,あ,アナリスト.......?あ,あ,アナ?リスト?あれか,アナルとリスト......?つまり穴に手首までずっぽりな......感じで......いらっしゃる?いかんいかん,そんな剛の者,会ったことないぞ。ここは『お尻を出した子一等賞作戦』いくか......。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺「は,は,初めましてぇぇぇん!ここは一つどうぞよろしくお願いいたしますぅぅぅんんん!(Siriを丸出しにして背を向けながら土下座する俺)」




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜名刺交換の場にて〜その2

 

経済アナリスト「私,経済アナリストをしております」

 

俺「へー!経済アナリスト!」

 

 

 

 

 

 

 

俺「け,け,経済アナリスト......?け,け,経済?アナルとリスト......?あれか,つまり商売として,穴に手首までずっぽりな......感じで......いらっしゃる?経済でアナルを開発するということだろうか......。金をもらってアナル開発......。しかしアナルは形容詞で名詞として使うなら正しくは『アヌス』だ。ここは『お金を出した子一等賞作戦』いくか......。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺「は,は,はひへはひへぇぇぇん!ほほはぁひほふほほひふほへはひひはふぅぅぅんんん!(札束を口に咥えながらSiriを丸出しにして背を向けながら土下座する俺)










 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず俺は,今後の戒めのため文字通り肩書きとして右肩に

 

 

 

 

 

「貸切温泉おもてなしソープ 杏」

 

 

 

 

 

 

の刺青を刻もうと思ってます。



怪獣になった男

脱毛の記録を残しておきたいと思います。

 

遡ること2年ほど前。プライべートでゴタゴタがあり,心機一転,気分を変えるためにイメージチェンジに取り組むことにした僕は,髪型を変えてみたり,眼鏡からコンタクトレンズに変えてみる中で,髭脱毛をすることにしました。

 

僕は学生時代までは髭が薄かったのですが、一時期から生活習慣の乱れなのか,一気に髭が濃くなりアオヒゲアザラシになりました。

 

これがね,本当に自分でもびっくりするくらい急にだったんですが「歯を全部磁石に変えて砂場に顔から突っ込んだのかな?」と思うくらい砂鉄みたいな髭がビャッ!と生えてきます。世の中より一足先にOfficial髭男dismになったわけです(?)

 

当時はあまり気にもせず,歳も歳なので,個人的には髭を伸ばして男らしい無精髭ならぬ武将髭にしてみたい,ASIAN KUNG-FU GENERATIONのゴッチみたいな感じにしたいなと考えていたのですが,残念ながら仕事柄,髭を伸ばすことが許されず,朝に猛烈に弱い僕は髭を剃る時間すらも惜しいほどに睡眠時間を確保したかったこともあって,青髭をずっと晒すくらいならいっそ永久脱毛したろか!と一念発起しました。

 

Official髭男dismからUnofficial髭男dismへ変貌を遂げようという魂胆であります。

 

しかし脱毛なんて人生初ですので,一抹の不安は拭えません。そこで僕はできうる限り髭脱毛に関する体験記をネット上で探し回り,入念な下調べを施すことにしました。

 

勇猛果敢な先駆者たちの手記によれば「髭の濃さによって痛みが違う」とか「施術してから1週間程度は泥棒髭になるのでマスクが必須」など,様々な有益な情報が残されており,特に助かったのは「できるなら皮膚科でやるべき」というアドバイスでした。

 

個人的にも,いわゆるメンズエステみたいな洒落たところは恥ずかしくて入りづらいので皮膚科で永久脱毛できるのは僥倖だったと言えます。



いざ勇気を振り絞り,髭脱毛ができる最寄りの皮膚科に施術予約をして,さあ本番当日。

 

皮膚科医の先生から簡単な診察を受け,処置室に案内されるとそこには処置用ベッドが一床と何やら機械の箱からクレーンのような物が伸びた医療機器と思しきマシンが。実際の施術は看護師の方が行うようです。

 

ベッドに仰向けになるよう指示され,言われるがままに見知らぬ天井を仰ぎます。

目の上にガーゼを乗せられ,さらにゴーグルを着用すると視界が奪われます。

 

この時点でね

 

 

すこぶる緊張しております。

そして,めちゃくちゃビビってます。

 

 

いつくるんだ,いつくるんだと緊張の波が寄せては返し手のひらはじっとりと汗ばんでいます。

 

暗闇の中の僕を尻目に,すぐ隣で看護師さんがレーザーの試し撃ちをしており

 

「ボッ,ボッ,ボッ」と空の段ボールを叩くようなくぐもった音がします。これがさらに恐怖心を煽ります。レーザーなんだから「チュン!チュン!チュン!」みたいな音を想像してたのですが明らかに何かを強烈に刺激する音がします。

 

いよいよ照射の時間。痛みに耐えるため鉄拳制裁を食らう学生のように歯を食いしばり拳を握りしめます。看護師さんの「いきますよ~,1,2の3!」の掛け声と共に「ボッ!」と音が鳴り,皮膚にレーザーがヒット!

 

 

レーザーが直撃した瞬間,文字通り刺すような痛みが走ります。

 

(が,顔面ってだけでこんなに痛いのか......。)

 

例えるなら,近いのは火傷の痛みでしょうか。料理をしていてフライパンからアツアツの油が跳ねて手に当たってしまった時の痛みを想像してもらえばいいと思います。

 

あれの5倍くらいの痛みが連続で僕の顔面を襲います。

想像していた以上に痛い。

そりゃそうです。人為的に軽い火傷を起こしているわけですから。

 

鼻下は神経が集中しているので特に痛いです。麻酔クリームを塗ったはずなのに、これがまぁ痛いこと痛いこと。麻酔クリームを塗ってなかったらどうなってたんだろうと恐怖に震えます。

 

一回の施術は15分程で,口周りから顎下にかけてレーザーを照射します。

なお,施術回数は全10回程度になりますが,回数を経るにつれて痛みの度合いが変わっていきます。

 

 

施術1〜3回目

そこまで痛くありません。ゴムパッチンくらいの痛み。肌も赤くなりますが翌日には治ります。

 

 

 

 

 

 

 

施術4〜5回目

ちょっとパワーが上がります。この辺から麻酔クリーム無しだとかなり痛いらしい。

 

 

 

 

 

 

 

施術6〜10回目

 

 

遊びは終わりだ。

 

 

 

顔面に最大出力でレーザーをぶっ放してきます。

ここまで来ると,めっちゃ痛い。

 

神経が集中している鼻の下が一番痛いと言われたのですが実際には髭が最も集中している顎のあたりが一番痛かった。

 

今でもまだ顎髭だけ抜けきっていないので,顎に照射されるとめちゃくちゃ痛いです。涙が出るくらい痛い。脱毛が進んだせいか,鼻の下はだいぶ痛みはましになったように思います。



 

 

感想

率直に「やってみてどう?」と聞かれれば

 

痛かったけどやってみて良かった

 

と答えるでしょう。なんとなく見た目が若返る気がします。(逆に童顔で悩んでいる人は髭を生やしてみるのもありなんだなぁと思いました)

あと髭を剃る時間が減ったのも密かに嬉しいです。費用も月額で考えたら1万円未満ですので,社会人ならそこまで大きな負担ではないかも知れません。

 

気になる点があるとすれば,永久脱毛なので抜けてしまった部分は二度と生えてこないので,将来髭を伸ばしたくなった時に取返しがつかなくなることくらいでしょうか。あと髭の生え方が変わります。顎髭が二股に分かれて「麒麟がくる」の斎藤道三みたいな顎髭の生え方になりました。

 

 

 

 

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(顔もこんな感じになれば良かったんですが無理でした)

出典:NHK大河ドラマ麒麟がくる」より斎藤道三(演:本木雅弘



 



ちなみに皮膚科で扱う医療レーザー機器の出力は強力で,髭の毛根まで届き,結果,永久脱毛できるのだそうです。ちなみにエステ脱毛だとレーザー機器のパワーが弱いので髭を完全に脱毛するには至らず,時間が経つと元通り生えてきてしまいます。



 

ふと疑問に思ったのは,これ,脇とかどうなんでしょうね。

顔でこれだけ痛いわけですから,脇に照射されたら......。

想像するだけでぞわぞわします。




 

施術後にレーザーとの戦いで赤くなった自分の顔面を鏡で見る度に「ゴジラもこんな思いをしているのだろうか」とぼんやり思います。

 

もし自分が世の中に対して何らかの怨念を抱き,マイナスパワーの集積によって,ある朝,怪獣に変身してしまったとして,怒りのままに街を破壊していると,自衛隊やら地球防衛軍やらがやってきて僕に総攻撃をしかけてくる。

 

のろまな僕はきっと避けられないでしょうから,急所の顔面に直撃を受けてしまう。

その時,怪獣になった僕はこんな痛みを感じるのではなかろうかと妄想する次第です。

 

 

 

 

ちなみに怪獣の顎髭は少数ながら持ちこたえているので,あと数回ほど通う見込みです。



イタリアーノ・キムタク(後編)

イタリア人と会話してみて少し意外だったのは

「イタリア人も英語に堪能な人間は多数派ではない」

ということだった。

 

欧米人というのは概して母国語以外に英語にも堪能なものだと思っていたが,日本人と同じく母国語以外は話せないという方も存外,多いようだ。

 

 

しかし飲み会の中で,イタリア人一行のうち唯一英語と日本語を理解できる人物と話をすることができた。

 

 

彼の名は「マテオ」といった。

 

 

彼はイタリアで日本人の恋人がいるとのことで,日本語にも多少明るく,私が名前を尋ねるとイタリア訛りの英語で自己紹介をしてくれ,最後に

 

 

 

「チョ,マテヨ!チョ,マテヨ!」

 

 

 

と繰り返した。

 

 

どうやら彼は「マテオ」という名前が「待てよ!」に近い音だと知って,我々が覚えやすいようにキムタクのモノマネで自己紹介をしてくれたらしかった。

 

 

 

 

 

 

彼はなんと

 

 

 

イタリアのキムタク

 

 

 

だったわけである。

 

 

他の方も気さくな人ばかりで,私が

 

 

「俺の先祖はサムライだぜ」

 

 

と抜かせば,冗談と分かっていても爆笑してくれる。さすがは陽気なイタリア人だと感心した。

 

日本の文化を理解して積極的にコミュニケーションを取ろうとしてくれる彼らの姿にはどこか心打つものがあった。




アニメを起点にして上手くコミュニケーションが取れ始めた私は,気を大きくし,酔っていたので記憶が定かでなく,やや誇張も入っているかも知れないがこんな質問をした覚えがある。




 

 

 

 

 

「......Hahahahahaha!





 

 

 

 

 

 

By the way,

(ところで)







 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Do you know Taimanin Asagi

(あなた方は対魔忍アサギ*1を知っていますか?)」

※知らない方は絶対に検索をしてはいけない


 

 

 

 

欧米人が好きな物といえば

 

 

 

忍者,侍,富士山

 

 

 

の3つであることは日本人にとって周知の事実である。




 

そして私は日本でも名うての

 

 

「Japanese Hentai(日本的変態)」

 

 

として知られた男である。



その安直かつステレオタイプなイメージをもって




 

エグいほど汁っ気のある



 

 

 

 

 

どエロくのいちの

成人向けアニメを紹介した。

 

 

 

  




当然,彼らは知るはずもなかったが我々はアニメーションという共通言語で,すっかり打ち解けていたので私の繰り出すエロ忍者トークに興味津々であり,私はすぐさまスマートフォン

 

 

「対魔忍アサギ エロ」で検索し

※絶対に検索してはいけない

 

 

彼らに



 

 

性的感度を3000倍に強化された

ズッチョンズッチョンなくのいちを




 

 

 

「This is Japanese traditional Ninja!

(これは日本の伝統的な忍者です)」



 

 

 

 

と付け加えて,お見舞いしてやったのであった。

 

今も日本のどこかで活躍している伊賀忍者甲賀忍者に暗殺されても文句は言えない所業である。



 

しかし,私の予想通り,彼らは爆笑の渦に包まれた。



彼らはお返しとばかりに日本で名うての変態である私も知らないような

 

 

 

胸元のはだけた中性的な少年の描かれたアニメDVDのパッケージを見せつけてきて



 

 

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(実物はもう少しハードコアな感じでした)

 

 

 

 

 

「これが俺たちの大好きな

ジャパニーズアニメーションだ!」



 

 

 

と負けじと誇示してきた。

 

 

 

これには私も舌を巻き

 

 

 

 

「My favorite animation is this!

(私の一番好きなアニメはこれです)」

 

 

 

 

と,小学生が使うような文法で大笑いをかました。

 

 

イタリア人と日本人の男たちが喧々諤々と特殊性癖を刺激するアニメ談議を交わす様は,たった一夜ではあるが,WHOのテドロス局長もびっくりな




 

 

 

 

 

 

World Hentai Organization

(世界変態機関)の誕生であった。





 

 

 

 

 

やはりエロは言語を超えて万国共通なのである。





ひとしきり飲み明かした我々は24時近くになって河岸を変え,新宿の花園神社で年末特有の静寂と喧騒の入り混じった東京らしい雑多な雰囲気に包まれていた。

 

 

周囲の参拝客がカウントダウンを始める中,境内に向かう石段の上で,イタリア人の彼らが叫んだ



「トレ,ドゥーエ,ウノ!」



の掛け声の中に,酒に酔い陽気な気分を纏った地中海の雰囲気を感じられたような気がする。




 

その後は,朝方まで開いている近くの中華料理屋で気だるい時間を過ごした。

 

マテオがお土産で持ってきたイタリアで祝い事の時に食べるという,ヘルメットのような巨大なケーキをご馳走してもらい,甘くなった口を中華料理で中和するというなんとも異国情緒漂う年の初めだった。



酒に酔いつぶれた仲間を抱えながら

ホテルへ戻る彼らに別れを告げた私は

心地よい疲労感を抱いて,寒空の下

マフラーで口元を隠しながら家路に着いたのだった。





 

あれから1年以上経った。

 

 

 

彼らは今,どうしているのだろうか。

 

 

イタリアのニュースを見かける度に一夜ばかりの奇妙な異文化交流が思い出される。




ようやくワクチンの接種が始まり

全世界を巻き込んだ感染症騒動にも

かすかに光明が見え始めたように思う。



もしいつか彼らと再び会うことができたなら



 

 

 

 

とびきりのJapanese Hentaiを

見せつけてやろう

 

 

 

 

そう願ってやまない。



*1:※絶対に検索をしてはいけない

イタリアーノ・キムタク(前編)

私が知っているイタリア語といえば

 「チャオ!」「ボーノ!」
の2語のみであり,そのどちらとも教えてくれた師は間違いなく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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(真ん中の二人ではない。一番右である)

 

 

 

 



パンツェッタ・ジローラモである。



 

 

 

そんなイタリア語に疎い私が最近覚えた単語は

 

 

「Merda」

 

 

という短いワードなのだがこれは仕事でイタリア赴任中の友人が,私の誕生日に贈ってくれた言葉である。

 

 

わざわざイタリアから

 

「誕生日おめでとう!Merda!」

 

と,イタリア語交じりの小粋なメッセージを贈ってくれたのだが,

 

当時の私は「洒落たメッセージをありがとう」程度に思っていて,その軽妙で気軽な語感から

 

「おめでとう!」「良い一年を!」

 

くらいの意味なのかなと想像していたのだが

 

 

あとあと聞いたところによれば「Merda」は




 

英語で言えば



 

 

「Shit」



 

 

であり,日本語で言えば



 

 

 

「糞」

 

 

という意味だった。

人の誕生日になんてワードを教えてくれたのだろうか。

 

 

「誕生日おめでとう!糞!」......。

 

 

しかし,海外の文化で真っ先に教えられるのが,汚いスラングや下ネタなんていうのは,よく聞く話である。




思い返せば一年ほど前

コロナ禍で爆発的に感染が拡大したイタリアのニュースを聞いた時

イタリア赴任中の友人が気がかりだったのと同時に

以前,共に年を越したイタリア人達は

どうしているのだろうかと思いを馳せていた。



 

それは一昨年の暮れのことである。

例の友人がイタリアから日本へ帰国し,毎年恒例となっていた年越しオールナイトで飲み会をしていた時のこと。

友人の紹介で4人のイタリア人が参加することになった。

 

 

毎年,年越しの宴では気の置けない酒道楽の友人達と一年の苦楽を語り合い,年始を祝うのが恒例となっていたが,イタリアからの来客は予想外だった。

 

 

友人達の中で特に外国語に精通した人間はいなかったこともあり,初めのうちは我々の間に少しばかり緊張が漂っていたように思う。

 

まさにイタリアのように

 

”遠くにあるけど行けなくはない。

しかし気軽に行けるものでもない。”

 

そんな感じ。

 

 

しかし,そこは八方美人で名の知られた私の出番である。

 

 

元来,人見知りかつ根暗の私はコンプレックス解消のため,長年にわたり八方美人として振る舞って対人コミュニケーション能力の向上に努めてきた。

 

 

その副作用であろうか,私は飲み会などで一人きり,手持ち無沙汰にしている御仁を見ると放っておけない性分になったらしい。

 

 

仲間内だけで話している彼らを見ると妙にそわそわしてしまい「せっかくだから」と酒の勢いと好奇心も手伝って彼らと会話してみたい気持ちに駆られた。

 

 

私の「八方」にはヨーロッパの方角も含まれていたわけである。



 

 

なお初めに断っておくが,私は

 

 

生まれも育ちも茨城の父親と

生まれも育ちも茨城の母親の間に生まれた

生まれも育ちも茨城の人間である。

 

 

留学などしたこともなく英語の知識も平均の域を出ない,実に凡庸な言語能力を有する平凡な人間で,当然日本語以外に話せるのも義務教育レベルの英語のみである。

 

 

「How are you?(お元気ですか?)」も

 

「Fine thank you.(元気です,ありがとう)」も

 

「And you?(あなたはどうですか?)」も



およそ10年ぶりに使うであろう。

 

 

下手をすれば,英語力で




ルー大柴にすら負ける。



 

これでイタリア人と,しかも英語を用いてコミニュケーションするのは蛮勇に過ぎるかと思われた。

 

しかし今の私はいささかのアドリブと多少の度胸に自信がある。

錆び付いた中学英語を記憶の古箪笥から引っ張りだし,苦心しながら会話を試みた。



幸運だったのは彼らと連れ立って来た,英語とイタリア語に堪能な帰国子女の日本人女性がおり(非常に正確な通訳をしてくださる凄い方でした)

 

また彼らがアドリア海の潮風薫るジローラモ風のルネサンスでアモーレなプレイボーイではなくむしろこちらと同じ香りのするナードなアキバボーイ達だったことである。

 

話を聞けば彼らは3週間に及ぶ休暇を日本で過ごす程,日本に懸想しているようであり,日本のサブカルチャー,特にアニメーションに関心を寄せている観光客で,来日した海外アニメファンの御多分に漏れずコミックマーケット秋葉原を遊覧してきたとのことだった。



当然といえば当然なのだが母国語が共通でない人々とコミュニケーションを取るというのは,これが結構,難しい。

 

お互いが理解できる中間地点にある英語で意思疎通を図るのだが,知識不足うんぬんの前に相手の話す英語がまず聴き取れない。

そしてこちらの話す英語もなかなか聴き取ってもらえないのだ。

 

 

いかにも知った顔で相槌を打つ自分に酷く落胆する場面もあったが,しかし一方で,仲良くしたいという気持ちさえあれば,多少の言語の壁など訳もないのだと強く感じた。



 

我々の間には,”別次元”の言語,すなわち



「日本のアニメーション」という

偉大な共通言語があったのである。




そして何より

 

出川哲朗がバラエティ番組の

 

世界の果てまでイッテQ!

 

で示してくれたように

 

 

 

困った時は,最悪




 

 

 

ボディランゲージと勢い



 

 

で,案外何とかなるものであった。



 

(後編に続く)

tanacatharsystem.hateblo.jp

記憶のゆくえ

「酒と女は2合まで」なんてよく言ったものだが

私は女性関係については2号さんどころか1号さんすらままならならず

仮面ライダーであれば物語も始まらない状況にあるので,酒のことしか語る言葉を持たない。

 

酒に関する原体験を思い出してみると

あれは確か幼稚園生の頃だったと思う。

 

母が夕食後のデザートとしてケーキを買ってきてくれ

その中に,スポンジケーキの上に青色のゼリーの層が乗った

ドラクエに出てくるスライムのような色合いのゼリーケーキがあった。

 

戦隊モノではブルー推し,クレヨンも青から真っ先に

無くなってしまうほど青好きだった私は当然そのケーキを選んだのだが,失敗だったのはそのゼリーケーキは

なんとアルコール入りだったのである。

 

買った当人である母も気付かずに青好きな私のために買ってきてくれたわけである。

一つ年下の弟もケーキの色鮮やかさに興味を持ったのか

私の食べかけのゼリーケーキをつついた。

 

10分としないうちに私と弟は茶の間で陽気になり始め

互いに相手の笑い顔を見ると余計におかしみが

こみ上げてきて二人して笑いが止まらなくなる負の連鎖に陥り,腹がねじ切れるのではないかと思われる程の

笑い虫に襲われることになった。

 

なぜかは自分にも理解できないのだが私はハンガーにかかっていた

祖父のよれよれのパンツを頭にかぶり弟をさらに笑かした。

その後の記憶は思い出せない。



二十歳を超えて本格的に酒を嗜むようになってからは

酒で記憶を飛ばすことはほとんど無かったのだが

(飛ぶ前に具合が悪くなることが多かった)

社会人になってからは加齢による衰えなのか

酒に記憶が流されてしまうことが増えた。

 

自分史で,最悪の酒の失敗として挙げられるのが職場の忘年会である。

 

上司や先輩に年末の挨拶をしているうちに

返盃を重ねすぎて泥酔し,しまいには女性の上司に煽られて

紹興酒のボトルを一気飲みしていたらしい。

 

なぜ伝聞形かと言えば宴会の途中から記憶がごっそりと欠落し

気づいた時には家のトイレで突っ伏していて

後日,同期から伝え聞いたからである。

 

忘年会の翌日,激しい二日酔いに襲われながらも

何とか這いつくばって職場に出ると

やけにニヤついた先輩から前日の模様を動画で見せられた。

 

そこには芸能人の結婚披露宴で使われるような

大宴会場の式壇上に上がり司会者からヒールレスラーよろしく

マイクを奪い取って

 

 

 

「よっしゃー!」

 

 

 

と絶叫する私がいた。

 

どうやら忘年会の催しで景品抽選会が行われ

見事,何かを獲得したらしかった。

 

 

数週間後,身に覚えないの無いレイコップの布団クリーナーが自宅に届いた。

 

 

人生においてこれほどまでに記憶を飛ばしたことはなかった。

「穴があったら入りたい」とこれほど思ったことも後にも先にも無い。

 

 

 

 

 

 

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坂上二郎もびっくりの”飛びよう”である)

 

 

 

とは言え,私の周りには私に輪をかけて記憶を飛ばす”飛ばし屋”がいる。

 

 

その”飛ばし屋”は大学時代からの友人・K君といい

彼は家に日本酒セラーを置くほどの無類の日本酒好きであり

 

 

「酒を飲んで具合が悪くなったことがない」

 

 

豪語する剛の者だったが,いかんせんすぐに記憶を飛ばす。

 

一人陽気になって呂律が回らなくなってきたと思ったら

だいたい翌日には何も覚えていない。

彼は酒を飲み快楽だけを享受し

辛い記憶は消し去る術を体得しているのだ。

 

何とも都合の良い頭である。



今でも友人たちの間で語り草となっているのが

鹿児島に旅行に行った時のことである。

 

私とK君を含め4人での男旅だったが

K君はなんと空港を間違えて行きの飛行機に

乗り遅れる失態を犯してしまった。

(陸路で10時間以上をかけて鹿児島まで一人でやってくる羽目になった)

 

彼は夕方過ぎに我々と合流するとそれまでの

遅れを取り戻すかのように行く店々で薩摩焼酎を煽り

最後の店には我々に抱えられて入る有り様となった。

 

店の中でも彼は「しょうちゅうがのみたい!」と

全く焦点の合っていない目で喚くので

見かねた私がこっそり女性店員の方に

 

 

「申し訳ないのですが芋焼酎ですと言ってお水を出していただけませんか」

 

 

とお願いすると,彼女は苦笑しながら頷いてくれた。

 

店の奥に引っ込んだ後,ありがたいことに店員の方は

わざわざ焼酎グラスにたっぷり入った氷水を

「芋の水割りです」と一芝居打って出してくれた。



K君はテーブルの上に置かれた氷水を

待ってましたと言わんばかりに,すかさず奪い取ると

我々の乾杯の音頭も待たずに一気に飲み干した。

 

 

そして眉間に皺を寄せながら大きな舌鼓を打って,こう言った。





 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱ鹿児島の焼酎はちげーな!」





 

 

 

その後の彼の記憶のゆくえは,未だ不明のままである。