ネオ古今和歌集

記事が読まれるごとに,僕に電流が流れる仕組みになっています。

ゆる募ってなんだよ

今日はトーマスとゆる募という言葉に違和感を持ち続けている男のお話。

 

「ゆる募」とは「飲み会や行楽などへの同行者を緩く募集する」の略である。SNSでよく見られる言葉で,暇を持て余し急遽即日で付き合ってくれる友人を集める折,頻繁に使われている。

 

ゆるキャラの隆盛に代表されるような「ゆるさ」の流行は,現代社会でこの「ゆる募」を氾濫させることとなった。

 

しかし,この「ゆる募」に憤慨し,日本国の言語体系と大衆の自意識の肥大化を憂い,著しく堪忍袋の緒が切れかけている男がいた。







 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺である。



お腹の緩さ以外,緩みの無い男でご存知,田中である。




なんだ,ゆる募て。ゆるーく募集て。



人が集まらなかった時に

 

「まぁ,ゆるく募集してただけだからさ。俺もそこまで本気じゃなかったし,またいつでも集まれるからさ」

 

と言い訳をするために予防線を張ってるだけではないか。

 

募集する立場なのに何故

 

 

 

少女漫画に登場する超イケメンでクラスの中心にいる陽キャラ(演:横浜流星)なのに地味少女(主人公。第1話では眼鏡に隠れて目元が描かれないがふとした時に眼鏡を外して実は美少女だったことが判明する。演:福原遥)に恋して,他の陽キャ女(演:福田沙紀)にいじめられているところを助けちゃったりなんかしたけど,地味少女が幼馴染ポジの男(演:神木隆之介)と急接近した焦燥感から強引に告白まで持ってったけど「ごめんなさい,私なんかがイケメン君と付き合ったら迷惑がかかるから......」と自分に慮った理由で断られ,実は地味少女の心は幼馴染に完全に向いているのに薄々気付いてしまったので今後は応援する立場に専念すると決心し,最低限の強がりで面子は保ったけど家に帰ってから一人しとしと枕を濡らしまくっているライバルキャラみたいな

 

 

 

 

答え方なのか。

 

募集に応える側のことを全く考えていない所業である。

 

募集側,ホスト側の「俺って本気出さずにゆるく募集しただけでもこんなに人集めちゃうんだよね」という傲慢なアピールタイムにゲストを無理矢理加担させているのである。

 

本当に来て欲しいならばむしろ

 

「キツ募」

 

するくらいの覚悟が必要であろう。

 

 

無論,キツ募とは諸賢も周知のように



「飲み会や行楽から親戚の臨終,友人の結婚式など冠婚葬祭への同行依頼の可能性を考慮した上で,本気で万に一つも欠席などあり得ないと断言できる者のみをキツめにガチで募集する」の略である。例としては



【きつ募】最近話題のホールスパイスを使ったカレー屋さんに行ける人。もし来ていただけない場合には,我の面子をかけ,白装束に十字架を背負った状態で立ったまま切腹し,魂魄百万回生まれ変わろうとも恨み晴らす



のように使う。切腹を辞さない覚悟を示す武士の一分,木村拓哉も舌を巻くほどの真剣(ガチ)の募集である。これが「キツめに募集」である。ガチ募である。



当然,適当にSNSで投稿し募集などかけない。

 

真に信を置ける戦友(とも)にのみ声をかけさせていただだく。

方法は勿論,矢文。関係各位におかれては是非ともアルミサッシに矢が刺さる音を聞き漏らさないようにお願いする次第である。



身命を賭して募集をかけるのだから,断ることなど許されない。遅刻はおろか,病欠も論外。だってガチ募なんだから。

 

ガチの募集なのでドタキャンなど言語同断である。もし欠席などしようものなら,即座に予定をキャンセルして欠席者の元へ向かう。(この時の俺は目が黒目だけの状態になる)

家で寝ていようが,彼女と映画を観ていようが,不届き者を成敗しに行く。

 

欠席した不埒者はきっとLINEの画面を眺めながら「ま,いっか」くらいに思っているだろうが,決して許さぬ。女とイチャついて俺の誘いを断るなど許さぬぞ......。




----------------------------------------------------------------------------------




ドンドンドンドン!!!ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン!!!



「こんばんはぁ~!マッチでぇぇぇす!!!黒柳さぁぁぁぁぁん!!!!」



俺の住むマンション中に響き渡る声で”奴”は叫んでいた。居留守を使っても無駄だと本能で察した。奴はかれこれ2時間以上も扉の前で俺を探して奇声を発し続けている。飲み会の誘いをすっぽかしただけなのに,なんで俺がこんな目に会わなきゃいけないんだ。

 

しばらく寝室のクローゼットの中で隠れていると,スッと騒音が止んだ。スマホの時計を確かめると時刻は24時を回っていた。

 

「ようやく諦めたか」

 

俺はぐったりして這いつくばりながらクローゼットから出た。

奴とはもう絶交だ。なんだよ「キツ募」って。たまたま暇が出来たから飲みに付き合ってやろうと思っただけなのに。すっぽかしただけであんなイカれた行動に出るか?普通。

 

ホッと溜息を吐いた俺は喉が渇いていたのでキッチンに水を取りに行こうとして立ち上がった。ふと首筋に涼しい風が過ぎ去るのを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






「キツめの募集って,言ったよなァ?」




窓ガラスが,破られていた。



暗がりにぼうっと浮かぶ人の姿は明らかに異常な気配を漂わせていた。

 

その声に俺は一瞬で”奴”だと気付いた。

 

「うわあああああ」

 

俺は思わず腰が抜けその場に座り込んでしまい寝室全体を包み込んだ狂気に当てられて動けなくなってしまった。

 

奴は右手に持った人間の半身ほどもある全長の機械を掴み,何かを引っ張る動作を三回ほど繰り返した。

 

チェーンソーだった。



ブゥゥゥンブゥゥゥン!!!

チェーンソーを起動する音が聞こえる。




「へへへ,どこに隠れたって無駄だァ~。俺様の追跡から逃れられる者はいないィ~。俺様はベストストーカー賞メンズ部門準グランプリだからなァ。メンズ・ノン脳だァ。次期ノーベル殺戮学賞受賞予定だァ」




ブゥゥゥンブゥゥゥン!!!



「ゆ,ゆ,許してくれ!なあ!俺たち友達だろ!?田中!」

 

命乞いのため並べ立てられる弁明の声は,ドタキャンした罪人を弾劾するチェーンソーの音に掻き消されていった。





「許してだァ?」

 

 

ブゥゥゥンブゥゥゥンブゥゥゥンブゥゥゥン!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 






「そんなに許して欲しけりゃァ」



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

田中はニヤリと笑ってこちらを見据えるとチェーンソーを振り上げた。




ブゥゥゥンブゥゥゥン!!!ブゥゥゥンブゥゥゥン!!!ブゥゥゥンブゥゥゥン!!!ギャギャギャギャギャギャ!!!ギャギャギャ!!!ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ!!!!!

 

ガゴガギギギギギ!!!ガゴガ!ゴギガガガギゴ!








 

 

 

 

 

 

「ギャアアアアアアアア!!!」











 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次はァ,『許し』を『募集』するんだなァ」






 

 

 

 

 

 

 

----------------------------------------------------------------------------------




とまぁ冗談はさておき,遅刻常習犯の俺が何言ってんだって話なんですけどね。

実際問題,ゆる募で繋がれる友人同士の「気の置けなさ」みたいなものには幾度も助けられていますんでね。

 

正直,自分の遅刻癖やドタキャン癖はもう治らないと自覚してるんで!

まっ,俺の愛嬌に免じてね!

 

このブログも今日友達との飲み会の約束をすっぽかしちゃったんで,自嘲気味に書いてますからね。

 

人間だもの,しょうがないじゃん!www



ご迷惑をおかけしている皆様方,いつもほんとすいません!笑

多分,これからも遅刻や無断欠席しちゃうと思うんで!むしろ皆さんにはゆる募の精神でいてもらえると,大変助かりますわ~!!!www

 

まま,許してちょんまげ!!!笑















 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呑気にブログを書いて上の空になっていた田中は,自宅の扉の鍵が「がちゃり」と重く冷たい音を伴って回転したことに気付いていなかった。





 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…...ブゥゥゥンブゥゥゥンブゥゥゥン。

 

 

 

 

filmarks.com